村上 和雄

- 生命の暗号 -

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掲載の本

生命の暗号 - あなたの遺伝子が目覚める時 - 
サンマーク出版

著者紹介

1936年生まれ。DNA解明の世界的権威・筑波大学名誉教授。世界に先がけ、高血圧の黒幕である酵素「レニン」の遺伝子解読に成功し、一躍世界的な業績として注目を集める。現在ノーベル賞の有力候補とされる注目の人。最先端の遺伝子工学の研究から、「感性と遺伝子は繋がっている」ことを究明。想像をはるかに超える人間の持つ偉大な可能性を開花させる「眠れる遺伝子の目覚めさせ方・考え方」を解き明かす。

科学に身を置きながら、哲学、宗教、宇宙観をも包み込む独自の世界観を展開。その飾らない人柄と軽妙洒脱な語り口調に全国の経営者から絶賛の声が集まる。著書に「生命の暗号」「人生の暗号」「サムシング・グレート」「遺伝子は語る」「幸福の暗号」「未知からのコンタクト」他多数。

本の概要

日経新聞コラム「春秋」でも紹介されて大反響のベストセラー!「遺伝子」のことが面白いほどわかる本です。筑波大学の教授様がお書きになった本なのでさぞかし難解なのかな?と思って読んで見たところ、子供からお年寄りまで理解できるようにわかりやすく書かれています。この手の本としては16万部も売れるなんて驚異です。

本の概要は、実際に働いている遺伝子は5-10%に過ぎません。つまり人間の持つ潜在能力はとてつもなく大きいのです。遺伝子の機能は、電灯のスイッチのように、点けたり消したり(on/off)できます。人生をよりよく生きるためには、良い遺伝子(例えば元気が出たり、素肌がつやつやしたり)をスイッチonにし、悪い遺伝子(例えば誰もが持つ発ガン遺伝子)をスイッチoffにしたいものです。スイッチon/offには、その人の生き方が大きく影響しています。

キーワードは、「遺伝子ONの生き方」。「人間は誰でも自分の中に、ものすごい力を発揮できる素晴らしい遺伝子を持っているのです。それが今はたとえ眠っていたとしても、その遺伝子のスイッチをONにすることができれば、どんなことだってできる」。問題は、その遺伝子のスイッチをどうすればONにできるか?ということです。皆さんもご興味ありますよね~!遺伝子のスイッチをONにして生きたいものですね。

目次

第1章 遺伝子が目覚めるとき

生命科学の研究は、今素晴らしい勢いで進んでいます。その現場にいる私たちの予想さえ、しばしば超える勢いです。そして2010年ごろまでには、ヒトの全遺伝子暗号の解読が完了します。人間は自分の体の設計図を解読する技術を手にしたのです。この遺伝子の解読で生命の謎が解けると期待されたのですが、その解読が進むにつれ、話はそう簡単ではないことも分かりつつあります。そもそも、たった一つの細胞のことも、極めれば極めるほど深く、決して簡単ではありません。生命の仕組みは、まったく驚くほど不思議なことばかりです。

人は「生きる」などと簡単に言いますが、自分の力だけで生きている人は、地球上に一人もいません。それぞれの遺伝子は、見事な調和の元で働いています。ある遺伝子が働き出すと、他の遺伝子はそれを知って手を休めたり、いっそう作業のピッチを上げたりすることで、実にうまく全体の働きを調整しています。このような見事な調整が、たまたま偶然に出来たとはとても思えません。この見事な調整を可能にしているものの存在を、私は10年ほど前から「サムシング・グレート(偉大なる何者か)」と呼んでいます。

遺伝子の働きは環境や刺激で変化する
最近の遺伝子の研究から、凄い事が一つ分かってきました。「遺伝子の働きは、それを取り巻く環境や外からの刺激によっても変わってくる」ということです。正確に言えば、それまで眠っていた遺伝子が眼を覚ますことでもあるのです。環境や外からの刺激といえば、一般には物質レベルだけを考えがちですが、私は精神レベルでも考えています。精神的な刺激やショックが遺伝子に及ぼす影響、つまり遺伝子と心の関係がこれから注目されるようになると思っているのです。

例えば、強い精神的ショックを受けると、たった一晩で髪の毛が真っ白になってしまう。一方、末期がんで「余命数ヶ月」を宣告された患者さんが、半年たっても一年建ってもピンピンしている。また、俗に「火事場のバカ力」といって、極限状況になると人間はとてつもない力を出す。これらのどれもが遺伝子の働きに関係し、しかも本人の考え方でどちらでも転ぶ。例えばガンになった時、「治るんだ」と思う人と「もうダメだ」と思う人とでは、ガンそのものが変わってくる。ひどい高血圧なのに「俺は血圧が低いんだ」と頑固に信じているとなぜか症状が軽い。こういうことに遺伝子が深く関係している。

生まれたばかりの赤ちゃんでも細胞三兆個
細胞の数は体重60キロの人で60兆個もあります。キロ当たり約1兆個の計算で、生まれたばかりの赤ちゃんでも3兆個の細胞を持っています。もっと凄いことは、この細胞一個一個に、例外を除いてすべて同じ遺伝子が組み込まれていることです。細胞の仕組みは、一つの細胞の中心には核があって核膜で覆われており、その核の中に遺伝子があります。元を正せばこのたった一個の細胞(受精卵)からスタートして、今のあなたがあるのです。一個の受精卵が二個に、二個が四個に、四個が八個に、八個が十六個に…と細胞が次々と分裂を繰り返し、途中からは、「おまえは手になれ」「おまえは足になれ」「俺は脳に行く」「俺は肝臓になる」と、それぞれ手分けして母親の体内でどんどん分裂を続けて、十月十日で出産、細胞数約3兆個の赤ちゃんの姿になってこの世に誕生する、というわけです。

人の細胞一個の核に含まれている遺伝子の基本情報量は30億の化学の文字で書かれており、これをもし本にすると、千ページの本で千冊分になる。そして私たちはこのDNAに書き込まれた膨大な情報によって生きているのです。これだけの膨大な情報を持った遺伝子が、60兆個の細胞一つ一つにまったく同じ情報として組み込まれているということは、体のどこの細胞の一片を取ってきても、そこから人間一人を立派に誕生させる事が出来る可能性を持っているということです。しかし、ここで一つの大きな疑問が生じてきます。どの細胞も人間一人の生命活動に必要な全情報をもっているとしたら、爪の細胞は爪しかならず、髪の毛の細胞は髪の毛の役割しか果たしていないのはどうしてなのか?ということです。

髪の毛の細胞が急に「心臓の仕事がしたい」、心臓の細胞が「俺は今日から爪の仕事をする」などと言い出すことはないのか。各細胞が持つ情報は全て同じなのですから、それは潜在能力的には可能なことなのです。しかし現実にはそういうことは起きていません。それは爪の細胞の遺伝子は爪になることはOK、つまり遺伝子をオン(ON)にしているが、それ以外は一切ダメ、つまりオフ(OFF)にしていると考えられるからです。受精卵から分裂して体を作っていく過程で、細胞間で何らかのそういった取り決め、役割分担みたいなものが行われ、以後は各細胞がそれをきちんと守っていると考えられます。

人間の体の仕組みには不思議が一杯ある
人間はしゃべる時にも遺伝子が働かないとしゃべれない。言語情報を脳から取り出すときには遺伝子の働きがいるのです。さらに驚異的なのは、これらの遺伝子の構造と原理は、全ての生物に共通していることです。現在地球上には2百万種以上の生物がいるといわれているといわれますが、カビも大腸菌も植物も動物も人間も全て同じ原理。という事は、あらゆる生物が同じ起源を持つことを示しているように思われます。

もう一つ遺伝子で興味深いことは、原理は同じなのに、その組み合わせによって、二つと同じものがないことです。秀才と美人が結婚しても「美男の秀才」が生まれるとは限らない。また別な見方をすれば、あなたがこの世に生まれてきたということは、70兆という膨大な数の可能性の中からたまたま選ばれて、この世に存在しているわけで、それだけでも貴重だということが出来るのです。

いったい誰がこんな凄い遺伝子の暗号を書いたのか?遺伝子の暗号は、人間自身に書けるはずがないのは初めから分かっています。では自然に出来上がったのでしょうか?生命の元になる素材は自然界にいくらでも存在しています。しかし材料がいくらあっても自然に生命が出来たとはとても思えません。もし、そんな事が出来るのなら、車の部品を一式揃えておけば、自然に自動車が組み立てられることになる。そんなことは起きるはずがありません。ここはどうしても、人間を越えた何か大きな存在を意識せざるを得なくなってきます。私自身は人間を越えた何か大きな存在のことを、ここ十数年来「サムシング・グレート(偉大なる何者か)」と呼んでいます。

そういう存在や働きを想定しないと、小さな細胞の中に膨大な生命の設計図を持ち、これだけ精妙な働きをする生命の世界を当然のこととして受け入れにくいのです。さらに私はこんなことも考えます。人間は自然に挑戦するとか、自然を征服するとか、色々と勇ましいことを行っているけど、大自然の不思議な力で生かされているという側面も忘れてはいけないのではないか!近年、生命科学が長足の進歩を遂げ、生命の謎が少しずつ解き明かされるところまで気いるのは事実です。しかし、ノーベル賞学者が束になってかかっても大腸菌一つ作れない。これから先も、生命そのものをゼロから作ることはきわめて難しいと思われます。

遺伝子をONに出来る人、できない人
昔から「病は気から」という言い方があります。心の持ち方一つで、人間は健康を損ねたり、また病気に打ち勝ったりするという意味ですが、私の考えではそれこそ遺伝子が関係しているということなのです。つまり、心で何をどう考えているかが遺伝子の働きに影響を与え、病気になったり健康になったりする。それだけではなく、幸せをつかむ生き方ができるかどうかも、遺伝子の働きによると考える学者もいます。幸せに関係すると考えられる遺伝子は、誰の遺伝子にも存在しているはずです。その遺伝子をONにすればよいのです。今まで眠っていてOFFになっていた遺伝子を起こし働かせる、ということです。人間の遺伝子のうち解明された遺伝子はまだわずかです。これら遺伝子が、A,T,C,Gの四つの化学の文字で表される30億の情報を元に細胞を働かせるのですが、実際に働いているのはわずか5%とみられ、その他の部分がどうなっているのか良く分かっていません。つまり、まだOFFになっている遺伝子が多いのです。

心のあり方で遺伝子の働き方が違ってくるのは、人間の遺伝子のほとんどがOFFになっていることと関係があるのかもしれません。私はこのわかっていない遺伝子の中にも、心と強く反応する遺伝子があるのではないか?と思っているのです。心が体に命じて何かを実行するためには、遺伝子の働きが必要なのです。では幸せをつかむために、私たちは遺伝子をどう働かせればよいのでしょうか?それは日常生活をはつらつと前向きに生きることだと考えています。「イキイキ、ワクワク」する生き方こそが、人生を成功に導いたり、幸せを感じるのに必要な遺伝子をONにしてくれる、というのが私の仮説なのです。

人間はいつも前向きで元気ハツラツしていると、全てが順調にいくようになります。そういうときの心の状態は、良い遺伝子をONにして、悪い遺伝子をOFFにする働きがあるのです。最近よく言われるプラス発想の意味も、この辺にあるといっても良いでしょう。最近は、「ダメ」を前提に考えて生きている人が多いように思います。これは遺伝子から見ると決して良い生き方とはいえません。不必要な遺伝子はできるだけOFFにして眠っていてもらい、いい遺伝子をONにしてたくさん働いてもらうこと。その生き方の鍵を握っているのが「ものの考え方」だということです。このような考え方を、私は「遺伝子発想」と呼びたいと思います。遺伝子を上手にコントロールして生きて欲しいのです。

遺伝子のON/OFFとはどんなことか?
「こういうときにはこう働け、こういうときは、眠っていろ」という指令情報があります。これを私たちは遺伝子のON/OFFという言葉で表現しています。例えば、人間は思春期になると性ホルモンが分泌されるようになります。男は男らしく、女は女らしくなってきます。これはそれまでOFF状態だった性ホルモンの遺伝子が、いっせいにONになって働き出すからです。体の中には、ある一定の時期がたつと働き出す遺伝子がある。これは心とはほとんど関係なく働き始めます。おっぱいが膨らんできたり、ひげが生えてきたりするのがこれです。これは心の影響をまったく受けていないわけでもありません。周囲の環境がそれを早めたり遅くしたりします。また、心の持ち方も影響を与えていると考えられます。

遺伝子に書かれている暗号とは何なのか?
今から40年ほど前に科学上の凄い発見がありました。「生きとして生けるものは、まったく同じ遺伝子暗号を使って生きている」という発見です。カビも大腸菌も植物も動物も人間も、みな等しく同じ原理を使って生きている事が分かったのです。生物の基本単位は細胞ですが、細胞の働きは遺伝子によって決定され、遺伝子は同じ一つの原理で働いている。基本原理が同じということは、生物は間違いなく一つの細胞から始まったと思われます。私たちが草木を見て安らぎ、犬猫に出会って親し身を感じるのは、あらゆる生物が期限を一つにする親戚兄弟だからかもしれません。

では遺伝子には何の暗号が書かれているのでしょうか?結論を言えばタンパク質を作る暗号なのです。タンパク質というのは私たちの体の中で、水と供に最も大切なものです。それは体の構成要素であると同時に、体の中で起きる様々な化学反応に必要な酵素やホルモンなどの材料でもある。いわば生命の現象の元になる物質です。タンパク質は20種類のアミノ酸からできています。

プラス発想すれば遺伝子が目覚める!
遺伝子にはONにした方がいい遺伝子と、OFFにした方がいい遺伝子があるわけです。理想は悪い遺伝子をOFFにして、いい遺伝子をONにすることです。その秘訣は何かというと、物事を良い方へ考える、つまりプラス発想という事が非常に大切になっています。プラス発想で注意しなければならないのは、困難や窮地の時です。物事が順調に運んでいる時は誰でもプラス発想ができます。しかし、つらい局面に立たされた時、その状況でどれだけプラス発想ができるかです。自分の身に起きることは「全てプラス」というとらえ方をすることです。

人間の中では、心が非常に大きな力を持っています。病気だって落第だって失職だってありがたいわけです。それによって人生が深まることもあるし、人の痛みが分かることもある。そればかりか、まったく新しい輝かしい未来へのスタートになるかもしれない。元気の出る遺伝子をONにするには「感動」することです。とても「感動」できる状態ではなかったら、以前に経験した感動を心の中に呼び戻してみるだけでもいいのです。感動とは大いなる喜びと心地よい興奮が一緒になったものです。

遺伝子に書かれてある以外のことは出来ない
人間の能力、可能性は決して無限ではありません。遺伝子に書かれている以外のことは出来ないのです。ただ、人間の遺伝子で現在働いているといわれるのは5%から、せいぜい10%で、後はまったく眠ったままの状態に置かれています。つまり細胞の中の遺伝子は、A、T、C、Gからなる30億の膨大な遺伝子情報を持ちながら、そのほとんどはOFFの状態にあるということです。したがってまずどのようなことでも可能性はある。無限と思ってもなんの差し支えもありません。人間の可能性が無限であるという考え方は、私たちの脳が「可能と思ったこと」は可能だということです。世の中では奇跡が時々起きます。奇跡とは大半の人が「不可能」と思う事が「可能」になることです。しかし遺伝子的には奇跡もプログラムのうち。私たちは皆「奇跡の人」の可能性を持って生まれてきているのです。

第2章 環境で遺伝子が変わる

私の経験から一つ言えることは、行き詰まりを感じているような時は、思い切って環境を変えてみることです。やはり人間というのは「動く」事によって伸びるのです。その意味で環境をガラリと変えて、新しいものに触れるのは、自分の中に眠っている良い遺伝子を目覚めさせる絶好の機会といえます。環境を変えると新しいものが見えてくる。そこからまったく新しい人生が始まることも珍しくありません。人生を充実させて幸せに生きるには、心を通じて遺伝子をイキイキさせれば良い。「遺伝子ON」で生きることのすすめなのです。

遺伝子ONの生き方

①ある環境にめぐり合うと、それまで眠っていた遺伝子が「待ってました」と活発に働き出す事がある。そういう時人は変わる事ができる。②心を入れ替えるとは心の変化により、今まで眠っていた遺伝子が活性化することである。③行き詰まりを感じている時、環境を変えてみるといい。動くと人は伸びる。④新しいものに触れることは、OFFになっていた良い遺伝子を目覚めさせる絶好の機会である。⑤人的な情報交換は大切である。これによって人生が変わることもある。⑥いい業績をあげる人は常に前向きな点で共通している。⑦遺伝子ON型人間の特徴は、先のことはあまり考えずに目の前のことに精一杯取り組む思いっきりがある。

第3章 遺伝子ONにして生きる

世の中には多くの失敗がありますが、失敗とは「失敗」を意識した時から始まるのです。だからいくらうまくいかなくても、「まだまだ」とあきらめないでいる限り失敗にはなりません。

遺伝子をONにするもう一つの方法
それはギブ・アンド・ギブの実践です。人間関係の基本はギブ・アンド・テイクと一般には考えられていますが、でも心構えとしてはギブ・アンド・ギブが正解なのです。遺伝子をONにもっていきたいのなら、ギブ・アンド・ギブの方がはるかに効果的です。本当に大きなテイクは天から降ってくる。そういうテイクをとりたいのなら、ギブ・アンド・ギブでいくべきです。ギブ・アンド・ギブでやっている人の周りには人が集まってきます。

人間いくつになっても才能を開花できる!
人間の遺伝子の中には、代々の祖先だけでなく、過去何十億年にわたって進化してきた過程の記憶や能力が入っている可能性があります。受精から誕生までに進化の歴史を再現するのは、最初の細胞の遺伝子の中にそれらの情報が入っていたからです。極端に言えば一人の人間の遺伝子に人類全ての可能性が宿っている。だから優れた親は、パッとしない自分の子供を見てガッカリしてはいけないのです。パッとしないのは遺伝子がONになっていないだけ。

いつどこでどんな才能に火がつくか分かりません。遺伝子は年をとらないのです。十代のときと八十代の時の遺伝子は例外を除いて一緒です。もし遺伝子が年をとって老化していたら情報を子孫へ伝える事ができません。少なくても基本的に遺伝子は老化しません。人間はいくつになっても、自分の才能を開花させる能力をもっているのです。ある事をやろうという情熱と実行力があれば、どんなことも可能性はゼロではない。それを阻害するのは「もうダメだ」という気持ちだけです。

遺伝子の特性1

①失敗とは「失敗」を意識した時から始まる。②熱烈な思いは天に通じるという。そして遺伝子もONになる。③ギブ・アンド・ギブの実践は遺伝子ONの効果的な方法である。④基本的に遺伝子は老化しない。いくつになっても自分の才能を開花させる能力がある。⑤遺伝子の働きを阻害するのは否定的な心である

第4章 この生命設計図の不思議

妊娠初期のヒトの胎児は、魚に似た形態をとったりします。人間の遺伝子の中には、昔の魚や、爬虫類などの遺伝子も入っており、受精してから誕生までに、胎児は母親の胎内で過去の進化の歴史をもう一度大急ぎで再現するのです。これは遺伝子の中に進化の歴史が全部インプットされているためと思われますが、それでも人間から魚や爬虫類が生まれないのは、そういう遺伝子はどこかでOFFになるからで、万が一、ONになっても生まれてこないようにセットされているようです。「生き物が生まれる確立というのは、一億円の宝くじに百万回連続で当たったのと同じくらい凄いことだ。」あなたが今この世に存在して、生きているだけでもまさに大変な奇跡なのです。遺伝子からの発想では、そういうことが言えるのです。

プラス発想で遺伝子がONになる!
大きな精神的ショックによってある遺伝子がONになり、何十年もかけて徐々に行うはずの白髪化という老化現象を一気に成し遂げてしまう。例えば、こういう能力を持つ遺伝子を良い方に発揮させれば、凄い事ができるはずです。問題はその方法ですが、ショックが心の衝撃なら、その逆の物凄く嬉しいことは、良い遺伝子をONにすると考えられます。その場合、遺伝子は一分、一秒の休みもなく働いているのですから、私たちの心もいつも良い方へ向けておく必要があります。そうするための秘訣は、やはりものの考え方を最終的にはプラス発想にもっていくことです。良い遺伝子をONにするにはプラス発想が一番といえます。

遺伝子の特性2

①ほとんど全ての病気は遺伝子の働きに関係する。遺伝子が正しい形で働かないとか、働いては困る遺伝子が働き出すのが病気である。②ほとんど全ての病気は遺伝子の働きに関係する。遺伝子が正しい形で働かないとか、働いては困る遺伝子が働き出すのが病気である。

第5章 誰が生命の暗号を書いたか?

サムシング・グレートの存在を感じる時
ヒトの遺伝子情報を読んでいて、不思議な気持ちにさせられる事が少なくありません。これだけ精巧な生命の設計図を、いったい誰がどのようにして書いたのか?もし何の目的もなく自然に出来上がったのだとしたら、これだけ意味のある情報にはなりえない。まさに奇跡としか言いようがなく、人間業をはるかに超えている。そうなると、どうしても人間を超えた存在を想定しないわけにはいかない。そういう存在を私は「偉大なる何者か」という意味で十年位前からサムシング・グレートと呼んできました。

遺伝子の世界は、触れれば触れるほどスゴイと感じてしまいます。眼に見えない小さな細胞。その中の核という部分に納められている遺伝子は、たった四つの化学の文字の組み合わせで表される30億もの膨大な情報が書かれている。その文字もAとT、CとGというふうに、綺麗に対をなしている。

この情報によって私たちは生かされているのです。しかも、人間だけではない。地球上に存在するあらゆる生き物=カビなどの微生物から植物、動物、人間まで含めると、少なく見積もっても2百万種、多く見積もると2千万種といわれている=これら全てが同じ遺伝子暗号によって生かされている。どうしてもサムシング・グレートのような存在を想定しないわけにはいかなくなります。

サムシング・グレートとは「こういうものである」とはっきり断言できる存在ではありません。大自然の偉大な力ともいえます。私たちの大元に何か不思議な力が働いていて私たちは生かされている、という気持ちを忘れてはいけないと思うのです。今科学者は生命について、いろいろなことを知るようになりましたが、それでも一番単純な、わずか細胞一個の生命体である大腸菌一つも作ることはできません。ノーベル賞学者が束になってかかっても、世界の富を集めてきても、これだけ化学が進歩しても、たった一つの大腸菌すら作れないのですから。つまり生命を作る事ができないのです。

だとすれば、大腸菌に比べたら60兆という天文学的数値の細胞からなる一人の人間の値打ちというものは、世界中の富、世界中の英知をはるかに上回るといってもいい。私たちはサムシング・グレートから、それだけすごい贈り物を頂いているのです。そういう人間を越えた大きな存在によって、私たちは生かされているという事実を、まずしっかり見つめる事が大切ではないか。

人間の能力を阻害しているものは何か?
トマトの阻害因子は土だというのが、野沢さん(ハイポニカ農法)の主張ですが、では人間の阻害因子は何でしょうか?ものの考え方。どんな考え方かというと、私は自然に反する考え方ではないかと思うのです。生命を守り、生命を育んで、楽しませる方向に遺伝子が働くのは、「自然の法則」に合致した時です。このことから私たちは自然というものを良く観察して、その法則に合致した生き方をすればいい。

「自然の法則」に合致した生き方とは?

①志を高く。②感謝して生きる。③プラス発想。

※ サムシング・グレート
サムシング・グレートは、私の理性だけではまだ良く分からない存在です。しかし遺伝子の連続性から逆算すれば、それは私たちの親の親の元の親のようなもの。そうだとすれば、少々出来の悪い息子が、少しは誰かの役に立ちたいと一生懸命に努力している姿を見て喜ばないはずはない。喜んだついでにごほうびをくれるようなもの。良い遺伝子をONにする=そういう生き方がもし出来れば、私たちは普通に持っている以上の力を出せる。

※ 感謝して生きる
生命というものは、自分の工夫や努力だけで生きているのではなく、大自然から、それこそ何十兆円にも匹敵する贈り物をもらっている。だから毎日毎日とにかく無事で生きていることだけでも、大変ありがたいことだ…そういうふうに感じてみたらどうかと思います。遺伝子を見ていると、私たちが生きて存在していること自体が驚異的なことです。それは個と全体のとの関係を見ると良く分かります。私たちは約60兆の細胞の集まりですが、細胞が集まって高度な秩序を持つ器官や臓器をかたち作っています。私たち人間は宇宙の一部です。そして地球の大自然の秩序の中で生かされている。

※ プラス発想をする
どんなに自分に不利なことでも、プラス発想でとらえるという事が大切だと思います。例えば、物凄くつらい立場に立たされたような時でも「これは大自然からの何かのメッセージであろう」と考えるのです。そんなことは出来ないと思われるかもしれません。だがサムシング・グレートがあらゆる生命体の生みの親であることを考えれば、本当に親が子供のために悪いことをするはずがないのです。そう考えれば、どんなことも「天からの試練」として受け止められる。自分にとって不利な状況の時こそ、プラス発想が必要なのです。プラス発想をする時、私たちの体はしばしば遺伝子がONになるのです。どんなにマイナスに感じられる局面でも、結果をプラスに考えるのが、遺伝子コントロールのためには何よりも大切なことなのです。

● 遺伝子の役割
遺伝子の役割の一つは、親から子へきちんと遺伝情報を伝えていくことです。この役割をまっとうするためには、遺伝子は安定している事が求められます。老舗によくみられる家訓もそうですが、子々孫々に伝えるものは不変でなければなりません。もう一つの遺伝子の役割は、日々生きている個体の生命を維持していくことです。ところが固体を取り巻く外界は常に変化している。自然界の変化に適応するためには、絶対不変ではいられない。時には遺伝子組み換えも必要になってきます。

この相反する役割を、遺伝子は二重らせん構造というものを作ることで見事にこなしているのです。簡単に言えば遺伝子DNAの中に、考えられないくらいの無駄な性質を持っているのです。そして、遺伝子自身の持つON/OFFの機能を巧みに使い分けることにより、外界の刺激に対して臨機応変に対応しています。つまり「あれか、これか」という物事を単純に二つに分けて、二者択一で選ぶという方法は自然がとっている方法ではありません。どちらかを捨てるのではなく、両方を生かす共生の考え方が「自然のやり方」なのです。

まとめ

①地球上に存在するあらゆる生き物は同じ遺伝子暗号を使って生きている。②阻害因子を取り除けば人間の能力は百倍も千倍も発揮できる。人間の能力を抑える最大の阻害因子は、マイナス的なものの考え方である。③マイナス発想は好ましくない遺伝子を働かせる可能性がある。④弱肉強食のダーウィン進化論は有力な仮説である「生命は優勝劣敗で進化してきたのではなく互いに助け合いながら進化してきた」とする反ダーウィン的進化論もある。⑤サムシング・グレートは、親の親、その親の親とさかのぼった果ての「生命の親」のような存在である。⑥親の親の「生命の親」のような存在であるサムシング・グレートは、我々子供のために悪いことをするはずがない。

⑦「あれか、これか」と物事を二つに分けて選択する方法を自然はとらない。自然は両方を生かす共生の方法をとる。⑧心と魂は別のものである。心は意識できる精神、魂は無意識の精神という事が出来る。⑨心と体はつながっていて、死ねば体と一緒に心も滅びる。⑩魂は無意識とつながっていてサムシング・グレートに通じている。⑪感動で涙をこぼすと人は良い気持ちになる。良い遺伝子が働くからである。⑫自分の身に起きることは全部「必然」である。⑬あきらめずに続ける事が、物事を成就する最大の秘訣である。⑭「つつしみ」の心は自然の法則に合致する。

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