黄瀬川 3

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南八甲田 黄瀬川 1

猿倉温泉7時30分待ち合わせ。黄瀬ゲートを朝8時出発!黄瀬川はSさんは19年前に、私は14年前に遡行しています。川というだけあってスケールが大きくて美しく「もう一度遡行したい渓だな!」って、思っていました。

2022年9月16日撮影

南八甲田 黄瀬川 2

まずは、長~い8.5キロの林道歩きから始まります。この林道歩きさえなければ、入渓者はもっと増えるでしょうに…。Sさんのザックが大きくて重そうです。

2022年9月16日撮影

南八甲田 黄瀬川 3

黄瀬ゲートより8.5キロの長い林道を歩くこと2時間15分、ふぅ~!やっと松見の滝の入り口に到着しました!

2022年9月16日撮影

南八甲田 黄瀬川 4

これが「日本の滝百選」の松見の滝(90m)です。見応えあります!

2022年9月16日撮影

南八甲田 黄瀬川 5

松見の滝を見物後、コルまで戻り枝沢を下降し松見の滝上より入渓します。

2022年9月16日撮影

南八甲田 黄瀬川 6

綺麗な渓相にウットリします♪夜勤明けで寝ていないのに元気一杯のSさんです。

2022年9月16日撮影

南八甲田 黄瀬川 7

順調なペースで遡行します。個人的には「日本百名谷」の葛根田川より美渓で滝やナメ、ゴルジュなどの見せ場も多く楽しめる沢だと思っています。

2022年9月16日撮影

南八甲田 黄瀬川 8

沢ではなく「川」だけあって、スケールが大きいです。この黄瀬川、私が14年前(2008年)に遡行した当時は、遡行記録が少なくマイナーな沢だったように思います。

2022年9月16日撮影

南八甲田 黄瀬川 9

しかし、2016年発売の豊野則夫編著「沢登り銘渓62選(沢ガイド本)」に東北を代表する沢の一本としてこの黄瀬川が紹介されて以降、急に遡行者が増えネットでも遡行記録を数多く見かけるようになりました。

2022年9月16日撮影

南八甲田 黄瀬川 10

最初に出てきた滝です。左岸より容易に登れます。この先、綺麗な小滝と淵が連続して楽しいです。

2022年9月16日撮影

南八甲田 黄瀬川 11

その上の写真の滝を左岸より登った後、滝頭を右岸に渡ります。

2022年9月16日撮影

南八甲田 黄瀬川 12

最初の難所?幅広滝6mです。豊野さんの本では右岸より登っていますが、どうみても左岸の方が楽そうです。ただ、左岸から登る場合、釜の淵のトラバースで一ヶ所ジャンプしないといけないところがあります(11の写真)。そこさえクリアできれば、滝の直登は容易です。

2022年9月16日撮影

南八甲田 黄瀬川 13

その上の「幅広の滝6m」の淵をトラバースしているSさんです。

2022年9月16日撮影

南八甲田 黄瀬川 14

その滝を超えた後、ちょっとしたゴルジュ帯になります。左側の赤い岩に飛び移らなければなりません。

2022年9月16日撮影

南八甲田 黄瀬川 15

その飛び移る所まで安全を期し懸垂下降で降ります。今回、新調した20mロープがとても重宝しました。このエーデルリッド・ガイドアシストプロドライ(8,046円)水を吸水せず濡れても重くならないのですよ。また長さもちょうど良く、この渓にドンピシャリでした。

2022年9月16日撮影

南八甲田 黄瀬川 16

股下まで水に浸かりながら進みます。全行程30キロもあるロングコース!14年前「どうしたら1泊2日で遡行できるか?」を思案し実行した結果、何と「日帰り」出来てしまったのです(1泊2日の食料と装備を背負っての単独遡行、全行程11時間30分)。

2022年9月16日撮影

南八甲田 黄瀬川 17

深い釜を持った4m滝。左岸より高巻きました。他の遡行記録を見ると左岸をヘツって突破も可能なようです。

2022年9月16日撮影

南八甲田 黄瀬川 18

その4m滝、左岸からの高巻きました。なんとロープが設置されていました。結構な急斜面です。14年前には有りませんでしたが…。入渓者が増えた証拠ですね。

2022年9月16日撮影

南八甲田 黄瀬川 19

ここは右岸より直登しましたが、ホールドが細かいです。

2022年9月16日撮影

南八甲田 黄瀬川 20

その滝上はプールのようになっていました。

2022年9月16日撮影

南八甲田 黄瀬川 21

その滝を登るのにSさんの重いザックじゃ厳しいと判断し、まずはザックをロープで引き上げることにしました。それにしてもSさんのザックの重いこと~!腕がもげるかと思った…。引き上げ時、結構腰にダメージが…。

2022年9月16日撮影

南八甲田 黄瀬川 22

その滝を超えると深いプール状になっています。ヤマップやヤマレコの最近の遡行記録を見ると1泊2日で遡行されている記録を数多く見かけますが、2日目の行動時間は10時間を超えるものばかり。よって、1泊2日で計画される場合は、健脚者のパーティーでないと厳しいです。

2022年9月16日撮影

南八甲田 黄瀬川 23

今回14年振りに遡行してみて、この長い沢を日帰りしただなんて「昔(14年前)の自分って凄かったんだなぁ~!」と感心したほどです。

2022年9月16日撮影

南八甲田 黄瀬川 24

14年前というと私が46歳の時!南アルプスの赤石沢や和賀山塊の小鷲倉沢など遡行し、現役バリバリ「まだまだ5級の沢へ行けるぞ!」と自信に溢れていました。白いナメ床が出てくれば、長根沢出合も近いです。

2022年9月16日撮影

南八甲田 黄瀬川 25

長根沢出合に到着しました!歩き始めて6時間30分、概ね予定通りの時間に到着しました。Sさんのザック重くて登るのにリスクを感じるところは、小まめにお助けやロープを出しました。

2022年9月16日撮影

南八甲田 黄瀬川 26

その長根沢出合から100m先左岸にある「極上物件(幕営地)」です。テント2張りは余裕です。黄瀬川の中で一番最高の幕営地ですが、翌日の長時間行動を考えるともう少し前に進みたい!と考えていました。

2022年9月16日撮影

南八甲田 黄瀬川 27

この深い釜を持った小滝は、鎌をヘツって左岸より直登しました。この沢の特徴は、深い釜や淵を持ったテロテロの小滝が連続するパターンが多いです。細かいホールドを拾ってバランスで登っていきます。

2022年9月16日撮影

南八甲田 黄瀬川 28

その小滝を登るSさんです。

2022年9月16日撮影

南八甲田 黄瀬川 29

白いナメ床が美し~い♪手を挙げてご機嫌のSさんです。長根沢出合を過ぎた640m付近は、エメラルドグリーンの水と白いナメが続き美しいところです。

2022年9月16日撮影

南八甲田 黄瀬川 30

エメラルドグリーンの水と白いナメ床、まるで北アルプスの沢のようです。

2022年9月16日撮影

南八甲田 黄瀬川 31

美しい景観です。ここまでは予定通り順調だったのですが…。

2022年9月16日撮影

南八甲田 黄瀬川 32

この小滝で相棒のSさん、なんと「肉離れ事件」発生!昨夜は寝ていないと言うし、重いザックを背負っての長時間行動で、さらに泳いだことによる体の冷えも重なって、体力抜群のさすがのSさんの体も悲鳴をあげたのかも知れません。

2022年9月16日撮影

南八甲田 黄瀬川 33

その小滝を登るSさんですが、突然肉離れを起こし四苦八苦、直ぐにお助けロープを出しましたが力尽きてドボン…。しばらくSさんの回復を待ちましたが行動続行は無理と判断!ビバーク地を探すことにしました。本人曰く「人生初の肉離れ」のようです。

2022年9月16日撮影

南八甲田 黄瀬川 34

幸いにも近場にビバーク地を発見!雨降って増水でもしたらアウトですが、Sさんの回復が最優先です。ちなみにこのテントは(パイネ G-LIGHT(ゴアライト)テント 2-3人用 2020年限定生産復刻モデル 68,980円)今回が初お披露目です。

2022年9月16日撮影

南八甲田 黄瀬川 35

焚火で冷えた衣類と体を温めてもらいます。Sさんには回復してもらうべく、たくさん食べてもらって早めに寝てもらいました。

2022年9月16日撮影

南八甲田 黄瀬川 36

Sさんが寝た後、私は焚火の前で一人明日の行動パターンを様々模索していました。私は結局9時頃に寝たと思います。明日は敗退するにせよ遡行を続行するせよ、長い一日になりそうです。

2022年9月16日撮影

南八甲田 黄瀬川 37

翌朝は4時起床5時40分出発!外は寒いのでテントの中で朝食を作ります。朝から超豪勢な食事の数々。調子はどう?と聞くと「だいぶ良くなりました。もう大丈夫です!」とのこと。たくさん食べてたくさん寝たおかげで回復したようです。

2022年9月17日撮影

南八甲田 黄瀬川 38

「大丈夫、歩けます!」とのことでとりあえず前に進むことにしました。1時間歩いて問題が生じれば撤退する覚悟でいました。昨日難儀した小滝は、ロープを張ってごぼうで登ってもらいました(楽勝)。昨日もそうすればよかった…と反省!

2022年9月17日撮影

南八甲田 黄瀬川 39

深い釜を持ったゴルジュ入口です。一見、泳がなけえば突破不可能に見えますが、ここは14年前に右岸よりヘツっ突破できることが分かっていました。

2022年9月17日撮影

南八甲田 黄瀬川 40

その深い釜を持ったゴルジュ帯にて。右上にSさんの姿が見えます。結構ヌメっていて足場を慎重に選び進みました。右に小さくSさんが見えます。

2022年9月16日撮影

南八甲田 黄瀬川 41

Sさん、すっかり回復し調子が戻ったようで安堵しました。それにしても、驚くべき回復力です。これなら心配ないね♪

2022年9月17日撮影

南八甲田 黄瀬川 42

標高690m「柱状節理の側壁」が素晴らし~い!そうそう、当初はこの柱状節理手前の幕営地に泊まる予定でした。ある遡行記録には「極上物件あり」と書いてありましたので…。しかし、実際にその場所行ってみると存在してなくて…。今年の大雨で流され消失したものと思われます。

2022年9月17日撮影

南八甲田 黄瀬川 43

その柱状節理の側壁にて。下中央に小さくSさんが見えます。側壁のスケールの大きさがわかると思います。

2022年9月17日撮影

南八甲田 黄瀬川 44

標高700mちょい手前の淵を持った小滝にて。この滝は右岸より突破しました。

2022年9月17日撮影

南八甲田 黄瀬川 45

その滝を突破中のSさんです。

2022年9月17日撮影

南八甲田 黄瀬川 46

ゴルジュ帯の側壁が圧巻です。

2022年9月17日撮影

南八甲田 黄瀬川 47

美しい渓相が続きます。この黄瀬川、簡単過ぎず難し過ぎずの「ほど良い難易度」の滝や淵やゴルジュが連続し楽しませてくれます。

2022年9月17日撮影

南八甲田 黄瀬川 48

ゴルジュ内の斜瀑にて。結構な迫力がありました。左岸より容易に登れます。長根沢出合を過ぎた標高650mから900m付近までゴルジュ地形が続きます。

2022年9月17日撮影

南八甲田 黄瀬川 49

その長いゴルジュ帯は、側壁が大きく高巻き不可能「登れない滝が出てきたらどうしよう?」と心配になりますが、全て水線通しで突破できました。難しいと感じるところは特にありませんでした。

2022年9月17日撮影

南八甲田 黄瀬川 50

まるですり鉢のような側壁です。ゴルジュ内の側壁も柱状節理だったり、このようにすり鉢状だったりで変化に富んでいます。ナメも白かったり赤かったりで飽きさせません。

2022年9月17日撮影

南八甲田 黄瀬川 51

人物が写ると側壁の規模の大きさが分かりますよね。

2022年9月17日撮影

南八甲田 黄瀬川 52

標高800m付近の「黄瀬松島」の絶景スポットにて。この沢の見所の一つ。まるで日本庭園のようです。巨岩と一枚岩の上を流れる落ちる30mほどのナメ滝は、見る者を魅了します。画面左下に小さくSさんが見えます。スケールの大きさが分かるかな?

2022年9月17日撮影

南八甲田 黄瀬川 53

黄瀬松島の直ぐ先、今度は巨岩帯です。黄瀬川は次から次にハイライトが出てきて遡行していて飽きることがありません。大岩の上に鳩が止まっていました。

2022年9月17日撮影

南八甲田 黄瀬川 54

これまた素晴らしい側壁が~!ゴルジュや滝も適度な難しさで、まさに沢登りの楽しさを凝縮したような沢です。

2022年9月17日撮影

南八甲田 黄瀬川 55

すっかり元気を取り戻したSさんです。私は腰が痛くて大変だというのに…。何はともあれ、Sさんが元気を取り戻して嬉しい限りです♪

2022年9月17日撮影

南八甲田 黄瀬川 56

標高850m付近にて。ここも美しい所でした♪階段状の滝にて。

2022年9月17日撮影

南八甲田 黄瀬川 57

赤いナメが美し~い♪

2022年9月17日撮影

南八甲田 黄瀬川 58

標高900m付近にて。もう少しで完全にゴルジュ帯を抜けます。

2022年9月17日撮影

南八甲田 黄瀬川 59

標高1060m黄瀬沼分岐(枝沢)に到着しました!天場を歩き始めて3時間50分です。黄瀬沼コースはヤブがひどいので行きません。本流を忠実にツメます。

2022年9月17日撮影

南八甲田 黄瀬川 60

黄瀬沼を過ぎると平和なゴーロ歩きが続きます。

2022年9月17日撮影

南八甲田 黄瀬川 61

と思ったら…ちょっとした巨岩帯が出てきました。標高1100mにて。

2022年9月17日撮影

南八甲田 黄瀬川 62

遡行し始めること6時間、やっと登山道に出ました~♪やったぁ~!な、な、長かった~!

2022年9月17日撮影

南八甲田 黄瀬川 63

地獄峠に到着!猿倉温泉登山口(車デポ地)まで7Kもあるんですか…。

2022年9月17日撮影

南八甲田 黄瀬川 64

快適な登山道を歩くSさんです。ここまで来ればもう大丈夫!それにしても、この登山道、水平歩道でなかなか標高を下げません。

2022年9月17日撮影

南八甲田 黄瀬川 65

泥除けでしょうか?登山道の至る所にマットが敷いてありました。

2022年9月17日撮影

南八甲田 黄瀬川 66

湿原と猿倉岳を望みます。

2022年9月17日撮影

南八甲田 黄瀬川 67

右奥に高田大岳(1,559m)を望みます。今回の教訓!「肉体は(技術も)加齢と共に衰える!中高年であることを自覚しよう!」二日間で全行程30キロ、疲れました…。14年前、自分が「日帰りした」なんて信じられないです。

2022年9月17日撮影

南八甲田 黄瀬川 68

ふぅ~!猿倉温泉に無事下山しました!本日は8時間50分も歩きました。重い荷物を背負っての長時間行動、60歳の身に堪えます。猿倉温泉で入浴しようとしたら日帰り入浴は15時終了で入れませんでした。まだ14時30分だというのに…。

2022年9月17日撮影

南八甲田 黄瀬川 69

てなわけで、日本三秘湯の谷地温泉(600円)で汗を流しました。こちらは、日帰り入浴 17時までOKでしたよ♪ノスタルジックな温泉で気に入りました。ちなみに…北海道のニセコ薬師温泉、青森県の谷地温泉、徳島県の祖谷温泉が「日本三大秘湯」と言われているようです。

2022年9月17日撮影

南八甲田 黄瀬川 70

入浴後、黄瀬にて車を回収し解散!帰路、発荷峠より十和田湖を望みます。

2022年9月17日撮影

南八甲田 黄瀬川 71

盛岡市内に入ってみたけの大戸屋さんで晩飯タイム♪夕飯時と言うこともあり、とっても混んでいました。30分以上待ちました。

2022年9月17日撮影

南八甲田 黄瀬川 72

もろみチキンの炭火焼きと鶏ごぼうの生姜焼きご飯(930円)を食べて帰宅しました。とってもとっても美味しかったです♪

2022年9月17日撮影

南八甲田 黄瀬川 73

これが現物です!Sさんの肉離れと低体温症という予期せぬハプニングがありましたが、本人の驚異的な回復力のお陰で、結果的にはとても充実した楽しい二日間になりました♪Sさん、ありがとうございました!

2022年9月17日撮影

GPSの軌跡 (クリックで拡大)

<2022年9月16日(金)> 行動時間 7時間(休憩時間含む)

黄瀬(8時)~松見の滝分岐(10時15分)~松見の滝下(10時50分)~松見の滝上・黄瀬川入渓(11時30分)~長根沢出合(14時30分)~ビバーク地 670m付近 ▲(15時)

<2022年9月17日(土)> 行動時間 8時間50分(休憩時間含む)
ビバーク地(5時40分)~690m 柱状節理(6時10分)~800m 黄瀬松島(7時30分)~黄瀬沼分岐(9時30分)~登山道(11時40分)~矢櫃橋(13時)~松倉温泉(14時30分)
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